つい最近まで叶わぬ夢だと思われていたジムニーの5ドアモデルが、2025年4月3日から発売されることがスズキから発表されました。
そのネーミングは「ジムニーノマド」となり、ジムニストといわれるマニアから大注目されています。
この記事では、ジムニーノマドが日本の自動車市場へ与える影響と、安易に購入しても大丈夫なのかを検証していきます。
待望のシムニーノマドはどのようなモデルなのか知っておこう

スズキのジムニーは、そのスタートはあくまで軽自動車の本格的クロスカントリー車で、本来は特定シチュエーションで使われるマニアックな車です。
ところが2018年7月に発売された4代目ジムニーから異常な人気を博し、あまりに長くなった納期も話題になりました。
まずはジムニーの基本的な特徴と、ジムニーシエラがどのような進化を遂げたモデルなのか確認しましょう。
マニアックな趣味車からちょっと実用車よりに変化
ジムニーのボディをワイド化して日本における普通自動車(5ナンバー)としたのがジムニーシエラです。
それをロングボディ化して5ドアにしたのがジムニーノマドで、実は製造国のインドでは2023年6月から販売していました。
それを知った一部のジムニストは「早く日本で販売してほしい」と声を上げたわけですが、分からないでもない話です。
それというのも2ドア車のジムニーでは、1人者あるいは2人者(?)以外には使い勝手の悪い車だったからで、家族持ちには縁遠い存在でした。
ジムニーノマドが発売されると、諦めていたユーザーの購買欲が俄然増すわけで、マニアックな車から少しだけ実用性が高まったといえるでしょう。
基本骨格はジムニーの発展型
ジムニーの原型となったのは、今はなくなったホープ自動車が作りだした「ホープスター・ON型4WD」という軽規格の本格的クロスカントリー車です。
弱小メーカーだったホープ自動車が行き詰まり、この軽クロカンを買い取るという決断をしたのが故鈴木修氏で、当時は社内の猛反発があったといわれております。
これをベースにして1970年4月にデビューしたのが初代ジムニーで、今に至るまで本格クロカンの証となるラダーフレーム構造を踏襲しているところが特徴です。
今回発売されるジムニーノマドも基本骨格は同じで、ボディの全長を伸ばしたことで後席の居住性がほんのちょっとだけ改善されています。
同じ普通自動車規格のジムニーシエラより全長は435mm、ホイールベースは340mmも長くなりました。
この結果、明らかに直進安定性が増していて長距離を移動するときの負担は軽減されています。
ジムニーノマドの基本スペックを確認

スズキが満を持して(?)発売するジムニーノマドは、以下のような基本スペックをもつ本格的オフローダーです。
ジムニーノマド | ジムニーシエラ | |
---|---|---|
全長 | 3,890mm | 3,550mm |
全幅 | 1,645mm | 1,645mm |
全高 | 1,725mm | 1,730mm |
ホイールベース | 2,590mm | 2,250mm |
車両重量 | 1,180kg(MT) 1,190kg(AT) | 1,080kg(MT) 1,090kg(AT) |
エンジン | 1,460cc直列4気筒ガソリンエンジン | |
出力・トルク | 102ps(6,000rpm)・13.3kg-m(4,000 rpm) | |
燃費(WLTCモード) | 14.9km/L(MT) 13.6km/L(AT) | 15.4km/L(MT) 14.3km/L(AT) |
最小回転半径 | 5.7m | 4.9m |
サイズを確認するとジムニーノマドから全長とホイールベースを340mm延ばしていることが分かります。
大きくなったぶん重量も100kg増えていて、きっちり燃費が悪くなっていることも注目点です。
日本発売モデルは1グレードのみ
ジムニーノマドはインドで生産され日本へ輸入されるモデルで、2024年10月に発売されたフロンクスと同じパターンです。
そのためなのかジムニーノマドはフロンクスと同様に、最上位グレードのみの1グレード展開となります。
販売される「FC」グレードは後輪駆動をベースにした4WDとなっていて、ジムニーらしい悪路走破性は健在です。
グレード(トランスミッション) | 車両価格 |
FC(5MT) | 2,651,000円 |
FC(4AT) | 2,750,000円 |
ジムニーシエラ(JCグレード)と比べると56万円以上高いのですが、装備の充実面とロングボディ化の費用を考えれば妥当な価格だといえます。
早くも契約した方がいて、予想通り値引き額は安定の0円でした。
ジムニーノマドは1台持ちの選択肢としてありなのか?

ジムニーノマドは、乗降用のドアが4枚になったことから一気に使い勝手が向上します。
とくに家族持ちにとっては大きな進化で、ジムニーノマドの1台持ちという選択肢もありです。
とはいえ安易に飛びつくのはリスキーなので、購入にあたっての注意点を確認しましょう。
ジムニーノマドで広がる購買層
ジムニーに限った話じゃないのですが、2ドアと4ドアを比べた場合に普段使いで大きな差を感じるものです。
個人的な経験で考えてみても今後2ドア車に戻ることはないでしょう。
スズキも「ファミリー需要」を狙っているようですが、意外と既存のジムニストが気になっているようです。
後部座席が使いやすくなったとはいえ、ファミリーカーとはベクトルが違う車種なので、スズキの狙いどおりになるのか微妙なところでしょう。
ファミリー層が買うときの注意点を知っておこう
もし家族持ちでジムニーノマドに興味のある方には、事前に知っておかなければならないポイントがあります。
ジムニーノマドは小型乗用車規格(5ナンバー)であっても、乗車定員は4名となっています。
道路運送車両の保安基準第53条第2項に「12歳以上の者1人は12歳未満の小児または幼児1.5人に相当する」と定められているので、12歳未満の子供が3人であれば大人2名と合わせて5人でもOKです。
ただ、ジムニーの後部座席は揺れがダイレクトに伝わり、乗り心地が最悪なので車酔いの心配もしなければなりません。

トラックに乗る・・・くらいな覚悟が必要です。
家族持ちがジムニーノマドに飛びつくと、買って家族からの非難を浴びる可能性があります。
長期化どころか速攻店じまい
ジムニーノマドは、実際の使い勝手などよりも話題性が先行しているようで、早くも長納期かが懸念されています。
スズキの発表直後にもかかわらず、スズキディーラーの人間が納期4~5年と言い放つ根拠は何なのかと思っていたら、むしろ慧眼でした。
スズキの月間販売目標台数は1,200台、つまり年間14,400台という販売予定が数日で5万台を超える受注があり受注停止となったわけです。
ジムニーノマドへ期待する声と現実的に入手する方法


一部では「瞬殺で受注停止か!」といわれているジムニーノマドですが、少しでも早く手に入れる方法はあるのでしょうか。
また、ジムニーの5ドアモデルを巡る意外な噂と現実的な納期についても説明します。
ジムニーノマドを早く手に入れる方法と現実的な納期
ジムニーの5ドアモデル(日本名はジムニーノマドですが)は、世界中で販売されている世界戦略車です。
今回の日本で101ヵ国目の販売国になるのですが、スズキとしても低燃費車をバンバン売ることのできない事情を抱えています。
日本では「乗用車の2030年度燃費基準」という規制(CAFÉ規制)があり、ジムニー兄弟のような車が売れすぎると不都合なわけです。



あのトランプさんも燃費規制を批判していますよね。



規制緩和案を無視する自動車メーカーには激おこのようです。
とはいえ売れるほど納期は長くなるわけで、受注再開したとしてもジムニーシエラのように1~2年の納期が続く可能性があります。
一方でジムニーの5ドアモデルには、インドで思っていたほど販売が伸びなかったという情報があり、場合によっては納期がそれほど長くなることも考えられます。
1年ほど前の情報ですが、確かに日本投入のタイミングを恐ろしくシンクロする話です。
とはいえ、もはや注文すらできなくなった今は様子を見守るしかありません。
ジムニーノマドを買うときに少しでも得をする方法
一部のスズキディーラーでは早くも受注停止になっている(らしい)ジムニーノマドですが、しばらくは大きな値引きは期待できないでしょう。
そこで重要になるのは、目先の値引き額よりも今持っている愛車を少しでも高く売ることです。
スズキディーラーの下取り査定額は正直なところポンコツなので、オススメなのは「ズバット車買取比較」を利用して高く買取ってくれる業者と出会うことです。
ズバット車買取は大手事業者を含む303社と提携しており、きっと高く売れる先が見つかるでしょう。
まとめ
かなり話題が先行しているジムニーノマドの日本デビューですが思いのほか注文が殺到し、あっという間に受注停止となりました。
スズキの見通しも甘かったのですが、転売ヤーも暗躍しているでしょう。
それにしても、このようなニッチ商品が売れるとは、意外と日本の自動車ユーザーも確かな目を持っているのかしれません。