相変わらず大人気のSUVは、もはら一過性のブームなどではなく車の一ジャンルとして定着したようです。
そんなSUVのなかで取り回しが楽で比較的リーズナブルなコンパクトSUVも選択肢が多く、何を買えばいいのかお悩みではないでしょうか。
この記事では、国産コンパクトSUV選びの参考になる様々な情報を整理し、あなたに合った1台を見つけられるお手伝いをします。
コンパクトSUVの定義をメリットとデメリットとともに知ろう
そもそもSUVとは、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(Sport utility vehicle)の略称で、直訳すると「スポーツ用多目的車」となります。
実は明確な定義があるわけでもなく、ボンネットがあって背が高ければSUVっぽくなるわけです。
そのSUVでも「コンパクトSUV」について、少し掘り下げて考えてみましょう。
そもそもコンパクトSUVとはどこまでなの?
SUVは同じセグメントのセダン・ハッチバックや、ツーリングワゴンと比べて大きい傾向があります。
ただ、巷でコンパクトSUVと定義されているものは、セグメントによって区分けされた中でもB・Cセグメントのものを指すようです。
※セグメントとは?
欧州で自動車の統計を取るために考えられた分類概念で、基本的には自動車のサイズで分けられています。
ただ、日本の自動車メディアでもいま一つ釈然としない解釈をしているケースも見られる分類です。
日本のコンパクトSUVで代表的なものではライズ・ロッキーがBセグメント、カローラクロスなどはCセグメントになります。
ではCセグメントのカローラクロスがコンパクトなのか?と問われると、全幅が1,825mmもあることから疑問にも感じてしまいます。
とはいえ線引きに拘り過ぎると結論は出ないので、カローラクロスを上限として考えていきましょう。
コンパクトSUVのメリット
よく言われることですが、コンパクトSUVのメリットは迫力あるデザインでありながら取り回しが楽なところです。
これがミドルサイズやラージサイズのSUVになると狭い道では苦労し、それどころか駐車場所を確保できないことも多くなります。
またコンパクトとはいえSUVなので運転時のアイポイントが高く、視界が良好なこともメリットです。
とはいえユーザーにとっては、比較的リーズナブルにSUVを手に入れられる点が最大のポイントだといえるでしょう。
コンパクトSUVのデメリット
コンパクトとはいえSUVは全高が高く、ほとんどのモデルは機械式駐車場へ入庫することができません。
またスタイル重視のためか車体のサイズほどにはラゲッジスペースがなく、家族構成によっては選択肢に入りにくいでしょう。
これも見た目と関係しますが、タイヤサイズが大きいことからSUVは維持費が高くなりがちで、あまり経済的なモデルではありません。
【保存版】今オススメできるコンパクトSUV
少しばかり曖昧な部分を残しながらも、ここからは現在手に入る国産コンパクトSUVについて、その特徴やポイントもコンパクトにまとめて紹介します。
トヨタ・ライズ(ダイハツ・ロッキー)
2019年11月に登場したトヨタ・ライズは、生産をダイハツが担っていて同社ではロッキーとして販売されている兄弟モデルです。
ライズ最大の特徴は、ありそうでなかった「5ナンバーサイズに収まる」SUVだということで、大ヒットしたことから、いかに大きなSUVだと手を出せなかった人が多かったが分かりました。
ライズの魅力は、SUVでありながら価格が安い点にもあり、SUVというより初めての愛車としてもオススメの1台です。
全長×全幅×全高 | 3,995mm×1,695mm×1,620mm |
室内長×室内幅×室内高 | 1,955mm×1,420mm×1,250mm |
ホイールベース | 2,525mm |
車両重量 | 970kg~1,070kg(ハイブリッド) |
エンジン | 1,196cc直列3気筒ガソリンエンジン (ハイブリッド車あり) |
燃費(WLTCモード) | 2WD・20.7km/L、4WD・17.4km/L、ハイブリッド・28km/L |
タイヤサイズ | 195/60R17、195/65R16 |
車両価格 | 1,707,000 円~2,328,000 円 |
トヨタ・ヤリスクロス
トヨタのSUVでライズに次ぐコンパクトさなのがヤリスクロスで、ヤリスシリーズらしい高燃費が魅力です。
ヤリスと共通のプラットフォームですが、より広い室内空間を確保しているところもポイントで、3ナンバーであっても軽快な取り回しとなっています。
インテリアは都会的なデザインで、ソフトパッドを使用したインパネは上質な印象を受けるでしょう。
全長×全幅×全高 | 4,180mm×1,765mm×1,590mm |
室内長×室内幅×室内高 | 1,845mm×1,430mm×1,205mm |
ホイールベース | 2,560mm |
車両重量 | 1,110kg~1,270kg(フルオプション装着時) |
エンジン | ・1,490cc直列3気筒ガソリン ・1,490cc直列3気筒ガソリン+ハイブリッド |
燃費(WLTCモード) | ・ガソリン車 17.6~22.3km/L ・ハイブリッド車 25.0~30.8km/L |
タイヤサイズ | 205/65R16~215/50R18 |
車両価格 | 1,907,000 円~3,156,000 円 |
ホンダ・ヴェゼル
大ヒットモデルだった初代ヴェゼルから2021年4月にバトンタッチされたのが現行型ヴェゼルです。
現行型ヴェゼルはより洗練された都会的デザインとなり、安定感のある高い走行性能が魅力となっています。
飽きのこないシンプルでクリーンな内装も魅力で、室内空間にも余裕が感じられるでしょう。
全長×全幅×全高 | 4,330mm×1,795mm×1,580mm |
室内長×室内幅×室内高 | 2,010mm×1,445mm×1,225mm |
ホイールベース | 2,610mm |
車両重量 | 1,320kg~1,450kg(フルオプション装着時) |
エンジン | ・1,490cc直列3気筒ガソリン ・1,490cc直列3気筒ガソリン+ハイブリッド |
燃費(WLTCモード) | ・ガソリン車 15.0km/L ・ハイブリッド車 21.2~26.0km/L |
タイヤサイズ | 215/60R16~225/50R18 |
車両価格 | 2,648,800 円~3,776,300 円 |
スズキ・フロンクス
スズキ・フロンクスは、スズキのインド法人マルチ・スズキが生産するコンパクトSUVで、2024年10月16日に日本市場へも投入されました。
賛否の声はあるものの、最上級の1グレード展開で2WDと4WDの駆動方式だけが選択できます。
ほとんどの先進装備は標準装備となっていて、オプションを選ぶ楽しみはなくても上質で満足度の高いコンパクトSUVです。
注目ポイントは1,550mmに収められた全高で、これなら機械式駐車場にも入庫できます。
全長×全幅×全高 | 3,995mm×1,765mm×1,550mm |
室内長×室内幅×室内高 | 1,975mm×1,425mm×1,200mm |
ホイールベース | 2,520mm |
車両重量 | 1,070kg~1,130kg |
エンジン | 1,460cc直列4気筒ガソリン+ハイブリッド |
燃費(WLTCモード) | 2WD・19.0km/L、4WD・17.8km/L |
タイヤサイズ | 195/60R16 |
車両価格 | 2,541,000 円~2,739,000 円 |
日産・キックスe-POWER
日産のキックスe-POWERは2016年から世界市場では販売されていましたが、日本市場投入は2020年6月と大きくずれ込みました。
扱いやすいコンパクトさとe-POWERによる力強い走りが特徴で、販売が終わったジュークの後継モデルです。
実は次期型ジュークは2024年8月に北米市場に投入されていて、日本でのフルモデルチェンジも時間の問題でしょう。
全長×全幅×全高 | 4,290mm×1,760mm×1,605mm |
室内長×室内幅×室内高 | 1,920mm×1,420mm×1,250mm |
ホイールベース | 2,620mm |
車両重量 | 1,360kg |
エンジン | 1,198cc直列気筒ガソリン(e-POWER) |
燃費(WLTCモード) | 2WD・23.0km/L、4WD・19.2km/L |
タイヤサイズ | 205/55R17 |
車両価格 | 3,083,300 円~3,481,500 円 |
マツダ・MX-30
マツダ・MX-30は、ヴェゼルとサイズ感が丸被りのコンパクトSUVですが、全高が1,550mmという点が大きなアドバンテージです。
2020年10月にマイルドハイブリッドモデルとしてデビューしたMX-30に、2023年大きな変化が訪れます。
プラグインハイブリッド車が投入され、発電用エンジンとして伝説のロータリーエンジンが復活しました。
知らない人にとってはどうでもいい話でしょうが、上質な内装と話題性という点では面白い一台です。
全長×全幅×全高 | 4,395mm×1,795mm×1,550mm |
室内長×室内幅×室内高 | 1,835mm×1,500mm×1,205mm |
ホイールベース | 2,655mm |
車両重量 | 1,460kg~1,520kg |
エンジン | ・1,997cc直列4気筒ガソリン+ハイブリッド ・830ccREエンジン+PHEV |
燃費(WLTCモード) | 14.5km/L |
タイヤサイズ | 215/55R18 |
車両価格 | 2,935,000 円~4,942,300 円 |
スズキ・クロスビー
そのデザインから一見すると「軽自動車」に見えるのがスズキ・クロスビーですが、軽自動車とは全く別の設計で作られたコンパクトSUVです。
さすが軽自動車で限られたスペースを最大限使うことに慣れたスズキだけあって、見た目から想像できない室内空間を持っています。
ポップで豊富なカラーバリエーションが魅力で、生活に潤いを与えてくれるコンパクトSUVです。
全長×全幅×全高 | 3,760mm×1,670mm×1,705mm |
室内長×室内幅×室内高 | 2175mm×1355mm×1,280mm |
ホイールベース | 2,435mm |
車両重量 | 960kg~1,000kg |
エンジン | 996cc直列3気筒ガソリンターボ |
燃費(WLTCモード) | 2WD・18.2km/L、4WD・17.0km/L |
タイヤサイズ | 175/60R16 |
車両価格 | 1,941,500 円~2,390,300 円 |
部門別の最強コンパクトSUVを決めよう
サイズも価格も様々なコンパクトSUVを紹介してきましたが、中には「ネタ枠」的な存在も入っています。
これだけではどのコンパクトSUVが買いなのか分からないので、ズバリ目的別にオススメモデルをピックアップします。
価格面でオススメなモデル
コンパクトSUVを買いたいが、とにかく安く済ませたい方であれば以下のコンパクトSUVがオススメです。
- ライズ(ロッキー)
- ヤリスクロス
- クロスビー
これらはコンパクトSUVのなかでも小さなモデルなので、維持費面でも優れています。
またリセールバリューも良好な残価率なので、安心して安く買うことができるでしょう。
コスパが優れているSUV
値段だけではなく価格以上の価値を感じられる、いわゆる「コスパの高さ」を意識する方には以下のコンパクトSUVがオススメです。
- ライズ(ロッキー)
- フロンクス
- ヴェゼル
ここでもライズが1位となるのですが、それは圧倒的な低価格でもそれ以上の価値観を感じさせてくれるからです。
2位フロンクスも価格を大きく上回る上質さと先進機能を備えていて、3位のヴェゼルを含めて高いコストパフォーマンスを誇ります。
リセールバリューでオススメなSUV
コンパクトSUVであっても、リセールバリューの高さは経済的な面でも無視できない要素です。
乗り潰すつもりなら無視してもいいのですが、ライフスタイルの変化に合わせて車を乗り替えるつもりならリセールも考えましょう。
- カローラクロス
- ヴェゼル
- ライズ
本来であればコンパクトSUVに「ジムニー」を入れても良かったのですが、納期が長すぎるので今回は外しました。
ジムニーが加わればリセールランキングもぶっちぎり1位でしたが、それ以外ではトヨタ車が強いという結果になります。
またヴェゼルも高いリセールなので、車を入れ替えるときに助かります。
コンパクトSUVで中古車という選択肢
かなり選択肢の多くなったコンパクトSUVは、販売台数も多いことから優良な中古車も手に入りやすくなっています。
もちろん新車の方が「特別感」を感じられますが、状態の良いコンパクトSUVは中古車という選択肢も入れるべきです。
コンパクトSUVであれば、妙なプレミア価格が上乗せされることもなく、安心して買うことができるでしょう。
納期が長い車種ほど中古車価格が高い傾向があります。新車価格より高い中古車はオススメできません。
まとめ
今も熱い状態が続くコンパクトSUV市場ですが、ライバル車が多い今の状況は消費者にとってプラスだといえます。
競争が激しければ、より装備の充実したコンパクトSUVが手ごろになるはずなので、自分にベストマッチするモデルをじっくり探しましょう。