日本ですっかり死滅していたピックアップトラックという市場が「意外と伸びるかも?」思わせたのが、2017年9月に再投入されたトヨタ・ハイラックスです。
そのハイラックスに関して、最近はフルモデルチェンジがあるかのような偽情報が散見されています。
この記事では、波紋が広がっているハイラックスの生産停止の真相を軸に、今後のハイラックスについて考察していきます。
波紋が広がっているハイラックスの生産停止という公式発表
トヨタ・ハイラックスは、2024年2月に発覚した豊田自動織機の認証不正問題(出力試験における違反行為)によって生産停止が続いていました。
それが2024年10月23日になってトヨタが改めてハイラックスを生産休止すると発表し、様々な憶測を呼んでいます。
まずはハイラックス生産休止の背景と、なぜか期待値がマックスとなったハイラックスのフルモデルチェンジについて考えてみましょう。
ハイラックス生産停止の背景
ハイラックスの生産停止は2024年2月から始まっていますが、改めて10月にトヨタが告知した理由はどこにあるのでしょうか。
そもそも2004年に6代目ハイラックスの国内販売終了から、トヨタはハイラックスの日本市場再投入に慎重でした。
その理由は簡単明快で、日本でハイラックスのようなピックアップトラックは売れないからです。
確かにピックアップトラックといえば、ただのトラックでしたからね。
現行型ハイラックスが日本に再投入された大木の理由は、北海道を中心としたハイラックスユーザーから代替車種の必要性を訴えられたからで、トヨタは慎重に検討を重ねました。
10年近い準備の後再販されたハイラックスは、予想していなかった20代から30代の若い層から支持を集めます。
私らが声を上げたのに買えなくてすまんの。
一部の自動車メディアでは大ヒットだと評価されていますが、2023年の日本国内販売台数は10,770台に過ぎません。
同年のハイラックスは世界市場で50万台以上売れていることを考えれば、日本市場の小ささが分かると思います。
それでも自動車界にとって明るい話題だと思っていたところに、トヨタグループによる認証不正問題が直撃しました。
こうして始まったハイラックスの生産停止は、2024年10月23日に行われたトヨタのアナウンスによって不透明感が一気に増します。
なぜか生産停止を好意的に解釈した人々
納期が長期化している車では多いことなのですが、バックオーダーを抱えすぎるとフルモデルチェンジの一定期間前になると受注を停止します。
そのためか、ハイラックの生産停止を受けて「ハイラックがフルモデルチェンジ!」なんていうお目出度い情報が錯綜しました。
それっぽいメディアでもこの有様です・・・哀れなものよ。
そう言っている私も哀れな存在なのかもしれませんが、今のところハイラックスのフルモデルチェンジは先のことで、しばらく日本市場から遠ざかると予想しています。
ハイラックスは今後数年間手に入らないといえる理由
トヨタの公式サイトを見るとハイラックスは旧車情報に分類されていて、それだけでも全てを察します。
そもそも今のハイラックスがどのような生い立ちを持ち、現在の立ち位置を考えればしばらく手に入らないことは明白です。
以下、ハイラックスが日本から消え続けるだろう理由について解説します。
日本市場から一時撤退したハイラックス
ハイラックスが生産停止となり、トヨタ公式サイトで旧車扱いされている今でも、海外市場では2025年モデルが発表されています。
2004年7月をもって日本から一時姿を消したハイラックスは、新興国市場をターゲットにした「トヨタIMVプロジェクト」の中心車種となりました。
このIMVプロジェクトは、世界中無数にあったプラットフォームを共通化しようという野心的なものですが、ハイラックでは迷走が見られます。
まさに慧眼といえる分析ですが、年間50万台を安定して販売できるハイラックスを今フルモデルチェンジするメリットがないことから、日本市場からの撤退期間は長くなるでしょう。
現行型ハイラックスは世界市場がメインだという事実
世界で50万台以上売れているハイラックスですが、日本市場ではどのくらい売れているのでしょうか。
受注停止前の数字を見ていくと、世間で思われているほどの販売台数じゃないことが分かります。
年月 | 販売台数 |
---|---|
2024年2月 | 350台 |
2024年1月 | 590台 |
2023年12月 | 580台 |
2023年11月 | 650台 |
2023年10月 | 660台 |
2023年9月 | 1,050台 |
2023年8月 | 1,050台 |
2023年7月 | 1,080台 |
2023年6月 | 1,070台 |
2023年5月 | 810台 |
2023年4月 | 760台 |
2023年3月 | 1,200台 |
2023年2月 | 1,000台 |
2023年1月 | 860台 |
2023年の1年間で10,770台なので世界販売の2%程度の割合となり、普通の経営判断であれば日本市場だけのために力を入れることはないでしょう。
この事実からハイラックスのフルモデルチェンジはまだまだ先だと予想できます。
実際にブラジルではハイラックスの2025年モデルが発表されていて、日本での生産停止が影響していないことが分かるでしょう。
意外と影響が尾を引く豊田自動織機の認証不正
ハイラックスの日本向けモデルが生産停止になった直接の引き金は、2024年1月に発覚した豊田自動織機による認証不正でした。
豊田自動織機といえばトヨタ自動車の源流に当たる企業で、ディーゼルエンジンにおける不正はハイラックスだけではなく、ランドクルーザーやハイエースにまで影響が及ぶ大きな事態となります。
巻き込まれた業界の人は可哀想なのですが、未だにハイラックスだけが(日本向けで)対応できていない事実は何を意味するのでしょうか。
個人的な予想では、あまり多く売れない日本市場向けに特別な対応はとらないということです。
恐らく現行型ハイラックスがフルモデルチェンジするタイミングまで、日本市場でハイラックの販売が再開されることはないでしょう。
ハイラックのフルモデルチェンジは2030年前後か?
トヨタが新興国市場向けに立ち上げた「トヨタIMVプロジェクト」の最大目標は、プラットフォームの世界共通化ですが、それは簡単なことではありませんでした。
豊田章男会長の肝入りプロジェクトなわけですが、確かに世界中無数にあったプラットフォームを統一するのは野心的な取り組みです。
このようにIMVプロジェクトのトップバッターのハイラックスでも、市場ごとのブレが明確で、この方の予想通り2030年前後までフルモデルチェンジはないと思います。
ハイラックスを手に入れるための具体的な選択肢
豊田自動織機の不正から始まったハイラックスの生産停止ですが、ついにトヨタは次期型登場まで停止し続ける決心をしたようです。
新車が手に入らなくなったハイラックスですが、その対策について具体案を考えてみましょう。
頭の痛いハイラックスの中古車価格高騰
世の中、モノの値段は需給のバランスで決まるもので、生産停止が続くハイラックスの中古車価格は高くなっています。
もともとニッチな市場で中古車数も多くないという悪条件もあり、安易に中古車へ手を出せなくなっています。
ただ、一時のランドクルーザーほどのプレミア価格ではないので、ハイラックス狙いなら中古車も選択肢に入れるべきでしょう。
いっそのことトライトンの購入を検討しよう!
ピックアップトラックの選択肢が少ない日本で、ハイラックのガチンコライバルが三菱・トライトンです。
もしハイラックスというよりピックアップトラックが欲しいのであれば、トライトンを検討することが超オススメかもしれません。
実際に車の出来としてはトライトンの方が完成度も高く(新しいから当たり前ですが)、ちょいお高めの価格を考慮しても魅力的だといえます。
懐かしいハイラックスサーフという選択肢
かつて日本でも一世を風靡したハイラックスサーフは、2007年にランドクルーザープラドへ統合されるかたちで消え去りました。
ただ、海外市場では「4 Runner(フォー・ランナー)」というモデル名で継続販売されていて、つい最近フルモデルチェンジされています。
これを日本へ導入してくれるとありがたいのですが、市場規模から考えても期待薄かもしれません。
ハイラックス復活にあたって北海道のユーザーが熱い思いを伝えたように、ハイラックスサーフ復活には皆の熱い思いが必要です。
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まとめ
2024年10月23日にトヨタからハイラックスの生産停止が発表され、一部ではフルモデルチェンジの噂が出ました。
しかし背景を分析する限り、日本での販売は当分はなされないようで2030年前後まで待つか、あるいは中古車を狙うか、さもなくば三菱・トライトンを購入するのが現実的な対応策です。
この予想当たるかどうかは分かりませんが、大外れはないと思っております。